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ハンユスクス・シネンシス(Hanyusuchus sinensis)の模式標本(上)と復元画(下)。


名古屋大学博物館
東京大学総合研究博物館

発表資料(PDFが開きます)

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学博物館の飯島 正也 学振特別研究員、東京大学総合研究博物館の米田 穣 教授、中国合肥工業大学のリュウ ジュン 教授らの研究グループは、中国広東省新会博物館、順徳博物館との共同研究で、中国広東省の青銅器時代の地層から、有史以降に絶滅した大型ワニを報告しました。

現在の日本に野生のワニはいませんが、人類が日本列島に到達する以前には、複数のワニ類が生息していました。特に、マチカネワニとして知られる6~7 m級の大型ワニは、日本の古脊椎動物学史上、最も重要な学術標本のひとつであり、国の記念物に登録されています。マチカネワニの仲間は、日本各地の第四紀の地層から見つかりますが、30~40万年前を最後に記録が途絶えています。

今回、中国広東省の青銅器時代のワニの標本を調査したところ、かつて爬虫類学者・青木 良輔氏が提唱したように、マチカネワニに近縁な大型種が有史以降まで生延びたこと、ワニ類の形態進化の間隙を埋める中間種(移行種)であること、古代広東人と共存し、人為的に絶滅した可能性が高いことが分かりました。本研究の成果により、長年議論が続いたワニ類の分類問題の解決や、完新世の爬虫類メガフォーナの絶滅要因について理解が深まることが期待されます。

本研究成果は、2022年3月9日午前9時(日本時間)付英国王立協会紀要「Proceedings of the Royal Society B」に掲載されました。

関連リンク 名古屋大学プレスリリース