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東京大学総合研究博物館ニュース ウロボロスVolime13Number2



海外モバイル展示
海外MMのグラフィックデザイン

関岡裕之(本館特任准教授/博物館デザイン)
 2006年にスタートしたモバイルミュージアムプロジェクトは現在17回を数える。その内、海外では5回が実施され、その幾つかは現在も公開されている。私は海外で実施されたものでは3件についてのグラフィックデザインを担当した。
 モバイルミュージアムに限らずグラフィックデザインを考えるとき、普段見慣れていない空間ではイメージすることは難しくなる。まして海外ともなれば、事前の視察すら出来ない場合がある。空間的イメージはグラフィックにおいても重要な要素となり得る。その要素とは具体例をあげるならば、躯体の色や質感、スペースの大きさなどである。目立たせるか、馴染ませるか、どのような出力メディアが有効か、配色関係はどうか。また、同じ文字サイズでも広い空間では小さく感じ、狭ければ圧迫感を感じる。その適正を判断することが展示グラフィックには求められる。
 レイアウトバランスとグラフィック全体の展開をみるには会場写真では困難なため、ここでは図面にて紹介したい。

「浮游するアバンギャルド」(広州・広東美術館)
MM006CN-GUANGZHOU 2007.11.19-2008.1.6

 広東美術館から3つの展示室からなる空間構成とグラフィックデザインを依頼され、西野嘉章教授の監修のもとプランニングが進められた。構成主義に基づくアシンメトリを展示コンセプトとし、各展示室中央部の吹き抜けを利用して、逆四角錐の布を吊り下げた。これはアバンギャルドを象徴するモニュメントとして、また、広東美術館会館10周年記念としての演出も担った。グラフィックは実際に展示される作品との整合性を計るため、アレンジメントは広東美術館に委ねられたが、一部の画像を除きほぼイメージどおり実施された。(図1.2.3)

「異星の踏査@清華大学」(北京・精華大学)
MM010CN-TSINGHUA 2008.5.15-5.21

 2007年10月20日から2008年2月8日にかけて本館で開催された「異星の踏査」展が再構築された。メッセージバナーは、ポスターデザインをそのまま流用したものだが、研究者たちが日々観察している宇宙の断片画像を見たとき、その美しさに息をのんだ。一般の写真集として目にする惑星画像とは全く違うクールなリアリティがそこにはあった。PC画面上でみるその断片をそのままポスターに生かすことを試みた。研究者ですら実際の宇宙空間を体験することはままならない。われわれにとってのリアリティとは四角く切り取られた2次元の断片でしかない。(図4.5)

「エチオピア 人類進化タイムライン」(エチオピア・エチオピア国立博物館)
MM016ET-ETHIOPIA 2008.8.6-

 形姿をとどめていない考古遺物であるが故に、グラフィックとして画像でアピールすることは難しい。黒ベースにシンプルな図形と文字をビビッドな色彩で構成することでモダンな印象を目指した。街には、ユリウス暦による2000年ミレニアムの国旗をあしらったバナーサインが設置されていた。それと呼応するように国旗の緑、黄、赤の3色をすべてのグラフィックに配した。(図6.7.8)

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図1 CGによるタイトルサイン


 図2 CGによる壁面造作とグラフィック


 図3 CGによる壁面造作とグラフィック


 図4 メッセージバナー



 図5 解説グラフィックバナー


 図6 ポスターデザイン


 図7 メッセージパネル


 図8 解説キャプション