東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
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音景夜景 --- トウキョウヘオモイヲハセル





音景夜景 --- トウキョウヘオモイヲハセル





Steam Locomotive MIX.
1: 新山口発津和野行 録音 12:30 ごろ阿東徳佐下通過
2: 津和野発新山口行 録音 16:10 ごろ阿東徳佐下通過

蒸気機関車: D51 200
       全長19.73m
       重量125.1t
       最大出力 1280ps
       昭和13年製


明治五年、新橋と横浜間に鉄道が開通した。鉄道の敷設、運営の全てを外国に 頼らないという政府の強い信念の一方で、住民運動に直面するなど、内外の様々 な困難を乗り越えての開通であった。高輪築堤は、住民の土地を奪わないとい う選択を、日本古来の穴太積職人を結集し、海上ルートとして実現したもので ある。当時、日本人の目の前を走った蒸気機関車のイメージへ、現在、山口線 新山口から津和野間を走行しているSLやまぐち号から、オモイヲハセテみよう。

2021年11月13日。山口県阿東徳佐下にて、SLやまぐち号の疾走音を録音。地元 農家の協力のもと、線路の脇に12本のマイクを5m間隔で並べ、蒸気機関車が通 り抜ける疾走音を録音した。



東京タワーの展望デッキでは、12チャンネルの録音ソースを様々な帯域に分解 し50台のスピーカに割り振り、リアルな音響空間を作り出している。蒸気機関 車がまだ見えない遠くから、徳佐・津和野の山々に汽笛がこだまする情景が思 い浮かぶ。やがて、木々のむこうから立ち上る白い煙が見えてくる。と、まも なく、蒸気機関車は轟音を立てて通過していく。目には見えないが、展望デッ キの窓の外を右から左へ、または左から右へ、蒸気機関車が通過していくよう だ。

一つ一つのマイクのすぐ近くで、虫がキリキリ鳴いていたり、風に揺られる草 がカサカサ音を立てているのが聞こえるのも、多チャンネル録音の魅力かもし れない。



徳佐のみなさま、録音にご協力くださり、ありがとうございました。

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