東京大学本郷キャンパスの大半が加賀前田家上屋敷に重なっていることはよく知られていますが、その北の一角、現在の浅野、弥生地区一帯は、かつて水戸�梵�家が中屋敷を構えた土地にあたります。浅野地区にひっそりとたたずむ、水戸九代藩主・�梵�齊昭建立の「向岡記」碑（文政11年、1828）が、わずかにそれを今日に伝えています。
この碑に刻まれた「夜余秘」の文字が由来となって明治5年に誕生した本郷区向ヶ岡弥生町は、明治17年には有坂?蔵（後に東京帝国大学教授）らによる弥生式土器発見の舞台となりました。その正確な発見地は謎のままとはいえ、以後も同じ地区からは、徳川家ゆかりの品物に加えて弥生時代の遺物や遺構が次々に見つかっており、今なお、弥生時代研究に欠かせない場であり続けています。
また、平成21年には本学130周年記念事業による「向岡記」碑の保存修復が完了し、キャンパスの歴史と弥生にまつわる記憶が新たに呼び起こされることにもなりました。
本展は、これを機に、先史と江戸、さらには現代をつなぐ弥生の歴史物語を、近年の学内発掘調査や関連する文化財保存修復活動の成果とともに公開するものです。

（本館教授　先史考古学）

会期：平成23年4月29日（金）から6月26日（日）
休館：月曜日
時間：10:00より17:00まで（ただし入場は16:30まで）
会場：東京大学総合研究博物館（東京大学本郷キャンパス内）
　東京都文京区本郷7-3-1
　地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅下車、徒歩7分
主催：東京大学総合研究博物館・東京大学埋蔵文化財調査室
協力：公益財団法人徳川ミュージアム
備考：入館無料
お問合せ： ハローダイヤル03-3272-8600

関連企画
連続講演会『弥生誌　―先史、江戸、現代』（5月7日〜6月11日）
水戸九代藩主・�梵�齊昭が建立した「向岡記」碑。東京大学本郷キャンパスに たたずむ
この石碑に端を発した弥生町と弥生時代の歴史物語を考古学、歴史学、保存科学、
現代絵画等の専門家がリレー形式で語ります。
日時と講師：いずれも14：00-16：00

5月7日（土）堀内秀樹（東京大学埋蔵文化財調査室）
　「本郷キャンパスの発掘調査と埋蔵文化財調査室」・原祐一（同）「向ヶ岡弥生町の研究　
　向岡記碑をめぐって」
5月14日（土）石原道知（武蔵野文化財修復研究所）
　「弥生町遺跡の方形周溝墓・弥生土器と「向岡記」碑の保存修復」
5月21日（土）小泉好延（武蔵野文化財修復研究所）
　「工学部武田先端知ビルから出土したガラス小玉・管玉の材質分析と弥生時代の
　ガラスについて」
6月4日（土）設楽博己（東京大学人文社会系研究科）
　「弥生式土器第1号の謎」
6月11日(土)竹内啓（日本画家）
　「東大農学部構内遺跡（旧向ヶ岡弥生町）での制作」

会場：東京大学総合研究博物館7階ミューズホール
定員：60名（申込み不要ですが先着順とさせていただきます）
入場：無料

ギャラリートーク
5月6日（金）、20日（金）、6月3日（金）、17日（金）：
いずれも10時30分、12時30分、15時の3回、 会場で展示解説をおこないます。

史跡ツアーnew
以下の日程で史跡ツアーを開催いたします。
5月22日（日）13時から
6月11日（土）10時30分から
6月18日（土）13時から
参加ご希望の方は総合研究博物館受付（正面玄関入ってすぐ）にお集まりください。





「向岡記」碑の臨書（飯村博氏書）


弥生アート（竹内啓氏画）

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