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長いあいだ動物の野外研究は双眼鏡と野帳でおこなわれてきた。野生動物研究者は 近代的な機器類とは無縁であるかの如き存在と見られることもあり、それでよしとされる空気さえあった。そこには、素朴な機器類に頼るよりも健康な脚と鋭い観察眼こそ野生動物をとらえることのできる最良の道具であらねばならないという信念のようなものがあった。そして多感で鋭敏な感性をそなえたすぐれた研究者がいたことも事実であった。

しかしそこに限界があったこともまた確かであった。哺乳類は夜行性のものが多い。また鳥類は飛翔力にすぐれている。どのようにがんばっても人間の努力でどうにも知ることのできない領域が厳然と存在した。

現代の機器類の発達は、このような分野へも積極的な展開を見せるようになった。たとえば1000kmを越えるような大規模な渡りをする鳥類に電波発信器をつけ、それを衛星で受信すれば、研究室にいながらにして渡りのルートをリアルタイムで知ることができるという、まさに夢のようなことが可能になった。また山の中にカメラをセットしておけば暗闇を歩く野生動物の写真を撮影することが可能となった。今回の展示では、野生動物を追おうとする研究者たちが使っている捕獲装置、追跡装置、自動撮影装置などやその成果を紹介し、野生動物の野外研究の前線の雰囲気を伝えたい。


電波発信装置を装着したニホンジカ


特別展併設コーナー

「野性動物を追う」

会期:2002年01月12日 〜2002年02月24日

 

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