真贋のはざま






目次


緒言


総論 揺れ動く「真」と「贋」


第1部 複製価値論――ホンモノ/ニセモノの峻別は可能か?
先史考古学における真と偽――石器のコピーをめぐって
アンデスにおける模造と捏造――真贋鑑定から本物再発見へ
レプリカを用いた考古遺物の解析
真贋を科学する 年代物――ほんとうはいつ頃のもの?


第2部 複製制度論――コピーこそがオリジナルである!
写真と謄本――天皇の姿と言葉の場合
模造千円札事件――芸術は裁かれうるのか
フィラテリーにおける偽造・摸造・変造


第3部 複製美術論――オリジナルは唯一無二ではない!
国芳が模した中国の水滸伝画像
デュシャンにおけるコピーの問題――レディ・メイドを中心に
「レプリカ」を超えて


第4部 複製教育論――コピーにしか果たし得ぬもの
空想美術館――複製メディアにおける芸術作品の受容
カースト・コート形成史――複製美術品の機能と役割
ダイヤモンドのレプリカが生まれるとき――真贋二元論を超えて
19世紀フランス美術における石膏複製と油彩模写――国立美術学校の「研究美術館」とブランの「模写美術館」をめぐって


第5部 複製技術論――コピーのコピーはコピーか?
19世紀の書籍における興味深い原版と復刻版比較三例
東京大学大学院数理科学研究科所蔵の幾何学模型


第6部 複製様態論――コピーは世界の摂理である!
本物・偽物・つくりもの
鏡――見る者が創り出す不思議
昆虫界の真と贋――擬態
自然界の贋作
加速する欲望、メディアの遺伝子


展示品解説
1 三体の胸像、どれが一番か?
2 「贋作」は「真作」を超えられない?
3 「贋作」は暴かれる
4 「真作」を捏造する!
5 模写は絵画の王道である
6 先端科学による年代の判定
7 「模刻品」から「真正品」へ
8 「捏造された旧石器」のレプリカとは?
9 「模型(レプリカ)」と「贋作(フェイク)」は紙一重
10 断層の画像で真贋がわかる
11 版画は「オリジナル」か「複製」か?
12 「複製」と左右反転
13 揺籃本(インクナブル)の「捏造」か「復刻」か?
14 同じ「原版」でもこれだけ違う!
15 「模刻」「新刻」による異版の出版
16 版木による「覆刻」がテキスト改竄の舞台となる!
17 リプリントには印刷技術の差が歴然と顕れる!
18 古典文学作品では何をもって「オリジナル」と考えるべきか?
19 複製技術時代の始まり
20 複製メディアとしての写真の誕生
21 写真は「イメージ」なのか、「モノ」なのか
22 「コピー」写真と「オリジナル」写真
23 複製されてはじめて「ホンモノ」となる
24 国家に管理されるコピー権
25 郵趣マニアを欺くフェイク
26 複製の流布域が国家の輪郭を決定する!
27 同一形式の保持こそが正統性の証となる
28 芸術における「オリジナリティ」とは何か?
29 デザインはコピーされる!
30 教育は模型(レプリカ)に始まる
31 模型として保存される「かたち」
32 模型で自然界を掌握する
33 模造の極み
34 貴重な文化財を複製によって後世に残す
35 コピーには目的がある
36 職人技術とデジタル技術
37 視像(ヴィジョン)の復元と反復
38 今日の複製技術と文化財――「デジタル・コピー」の可能性
39 自然界は「自己複製」(コピー)を繰り返す――鉱物結晶の問題
40 生存戦略としての擬態――生体は高性能のコピー機である!
41 複製マシーンとしての遺伝子


補遺1 関連用語集
補遺2 東西贋作事件史
補遺3 参考文献一覧


英語版(論文要旨+展示品解説)