琉球コレクション ―土器・瓦にみる島の文化史
総合研究博物館2階展示室では琉球諸島がはぐくんできた独特な文化史を展望す
るミニ展示を開催中です。
琉球諸島は日本列島など東アジア島嶼部と東南アジア島嶼部とに挟まれた節目に
位置し、またアジア大陸部の拠点と直面した環東シナ海世界の要地となっていま
す。こうした地理的特異性を反映して、琉球諸島に住む人々は特色ある文化を育
んできました。先史時代から近現代に到るまで、琉球諸島は周辺諸地域から様々
な影響を受け続けてきた一方、時には自ら積極的な対外交渉に乗り出すこともあ
りました。また、長く連なる弧状列島が単一の文化圏にまとまることはほとんど
なく、各諸島ごと、時には島ごと、地域ごとにしばしば複数の異なる文化領域を
形成し、古来特徴的な文化・習俗を展開させてきました。今回の展示では、特に
土器、瓦といった窯業関連の標本に焦点をしぼり、その製作技術や様式の独自性
をさぐります。
なお、本展示は本学大学院人文社会系研究科・日本学術振興会石井龍太特別研究
員が企画しました。展示資料には総合研究博物館など本学が20世紀初頭以来の野
外調査で入手した学史的資料のほか、近世瓦の研究を専門とする同研究員が現地
で収集した瓦標本や復元製作した屋敷門模型などが含まれています。
西秋良宏(本館教授、先史考古学)