東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
東京大学 The University of Tokyo
         
東京大学総合研究博物館 特別展示
空間博物学の新展開/UMUT SPATIUM


空間のコレクションから新たな空間の創出へ


「空間」は世界を成立させ、私たちが存在する基盤となる形式である。しかし空間という言葉が意味するものは一様ではなく、これまでにさまざまな空間概念が存在してきた。空間のあり方を大別すれば、「場所、広がり、関係」としての空間が考えられる。「場所としての空間」はアリストテレスのトポスに由来する局所的な空間である。「広がりとしての空間」はデカルト座標系によって定められる無限に広がる均質な空間である。「関係としての空間」は物理的な一体性を必須としないネットワーク型の空間である。場所、広がり、関係という空間概念の拡張は、現代社会における「人間と空間」の関わりの多様性にも深く関係している。
 建築学の分野では、ユニヴァーサル・スペースの理念が20世紀に生まれ、オフィスや学校といった「建築類型」に基づく計画が行われてきた。近年のコロナ禍を経て、人間どうしの「近接性」のあり方が変化しつつある。既成の建築類型を必ずしも前提としない、より小さな空間類型の有機的な連携にも新しい可能性が見出せる。
 一方、博物学の分野では、空間は収集の対象になってこなかった。学術研究で扱われる標本はモノであって空間ではない。標本の多くは空間から引き離されてモノ自体として保存される。博物学では自然は動物界・植物界・鉱物界に分類されたが、それが属する空間はむしろ捨象される側にあった。空間という不定形な対象を捕捉し、人間が体験するさまざまな空間を収集し、今後の研究やデザインに活かすこと。これは博物学の新たな課題の一つと考えることができる。
 特別展示『空間博物学の新展開/UMUT SPATIUM』は、建築や都市の空間を収集保存し、今後の新しい空間創出に結びつけること企図している。総合研究博物館では、これまで小石川分館を中心に建築学コレクションを形成してきた。旧東京医学校本館を前身とする小石川分館は、2020年の耐震基礎診断によって耐震性能が不十分である可能性が判明し、2021年1月から休館している。本展示では、小石川分館の常設展示『建築博物誌/アーキテクトニカ』の展示資源を活用しつつ、建築模型や映像作品の新規制作を通してコンテンツの新しい流れを組み立て、空間博物学の方向性を提起することを目指している。

展示リーフレット(PDF)




空間標本



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