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    ヒメネズミ(Apodemus argenteus)。頭骨、全長20mm、背側前方寄り左側面。宮尾コレクション

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    背側面

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    ヒメネズミ(Apodemus argenteus)。頭骨、左側面。宮尾コレクション

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B31
ヒメネズミ頭骨(宮尾コレクション)

ヒメネズミは日本の代表的な齧歯類で、日本国内に広く分布し、山林で普通に見られる。暗褐色の体色で、体重20g程度。アカネズミと近縁であるが、体サイズが小さく、尾が相対的に長い。

本標本は、動物学の貴重な学術標本群である宮尾嶽雄コレクションに属している。同コレクションは宮尾嶽雄博士によって野外から収集・製作された哺乳類標本である。齧歯類や真無盲腸類などの小型哺乳類を主体とし、詳細な捕獲収集記録と外部計測データを具備した、学術的にきわめて貴重な骨格標本群である。宮尾博士は1960年代から90年代を中心に愛知学院大学歯学部で日本の哺乳類を研究、とりわけネズミやモグラを大量に捕獲し、緻密な研究を進めた研究者である。その研究は、ネズミやモグラの地理的な形態の変異、成長パターンの異同、生態学的比較など多岐にわたり、未だ全貌がつかめていなかった日本の哺乳類に関する総合的な情報を蓄積することに成功している。 宮尾コレクションは長く愛知学院大学で研究された後、2012年に同大学の近藤新太郎博士、高田靖司博士らの尽力により、東京大学総合研究博物館に収蔵場所を移し、現在も日本の哺乳類の基礎的データを生み出すことに貢献している。宮尾博士と愛知学院大学の皆様に心から感謝の気持ちを伝えたい。 (遠藤秀紀・楠見 繭)

参考文献 References

遠藤秀紀(2002)『哺乳類の進化』東京大学出版会。