大河流域ではなく海洋に沿った山岳地帯を舞台とし、文字や車輪といった基幹的なツールを欠くなど、南米大陸アンデス地域に発祥したアンデス文明は、人類史におけるきわめてユニークな古代文明の事例と言えます。「連続展示 アルパカ×ワタ」は古代の織物を手がかりに、アンデスにおける自然と人間の関わりについての、様々な研究展開を紹介する企画です。当館所蔵の織物資料を5つのテーマに沿って集成し、アルパカ、ワタなどの生物標本とともに、5つの展示を順次開催していきます。
最終回となる「アンデス文明の生態基盤 古代織物第5集」展では、ワタから作られた木綿糸の多様な織物を紹介します。ペルーの海岸部で栽培化されたワタには、白色だけでなく茶色のものもあり、丈夫で優美な織物が数多く製作されました。のみならずワタは、多くの人口を支えた食料とも深い関係があります。アンデス地域固有の生物相の中で、直接口に入らないものであっても、文明の重要な基盤となっていたということを、考古学研究の成果から示していきます。
(本館特任研究員 アンデス考古学・文化人類学)
ウロボロス記事: アルパカ×ワタ アンデスの古代織物第4・5集
鶴見英成
主な展示品:古代アンデス織物(第5集)、漁網、自然遺物(魚骨・貝殻・獣骨・植物種子など)、土器、アルパカ剥製標本・ワタ等植物標本などの生物標本
会期:2011年8月16日(火)〜9月4日(日)
休館:月曜日
開館時間:10:00〜17:00 (入館は16:30まで)
会場:東京大学総合研究博物館2階展示室
入館料:無料
お問合せ:ハローダイヤル03-3272-8600
協力:共立女子大学
関連イベント:8月21日(日)、於・東京大学総合研究博物館本館
講演:7階ミューズホールにて実施
(事前予約は必要ありませんが、先着順とさせていただきます)。
13:00〜14:30 「いかにして私は標高2750米の神殿遺跡からウツボの背骨を探し出したか」
鶴見英成(本館特任研究員)
織りのギャラリートーク: 2階展示会場にて15:00より実施。