東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
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モバイルミュージアムの海外ネットワーク MM011MN-MONGOLIA
「日本モンゴル協同隊による野生動物調査」展
(2008年7月6日−)


標記のタイトルの展示をモンゴル自然史博物館において2008年の7月から開催した。これは科学研究費の基盤研究(c)「アジア圏博物館ネットワークの構築, 1 モンゴル」(代表東京大学総合研究博物館鵜坂智則助教)によるものである。展示のタイトルは「Mongolian Wildlife: Findings of Japanese-Mongolian Joint Team」とした。この博物館は恐竜の展示でよく知られており、ウランバートルの観光スポットにもなっている。
我々は2002年からモウコガゼルをはじめとするモンゴルの野生動物の研究と、最近では放牧によるモンゴル草原の生物多様性への影響についての研究を進めてきた。そして、その成果をモンゴル市民に紹介し、ご恩返しをしたいと考えた。これが科研費で実現したのはまことにありがたいことであった。そこで、これらの成果を表現することを展示のひとつの核とした。これには東京大学総合博物館の西野嘉章教授のアドバイスにより、通常のパネル展示ではなく、プロジェクターによる投影展示をした。標本によって野外調査の臨場感を伝えることはむずかしいので、スライド写真によるフィールドの紹介は効果的であった。またガゼルの移動を示す点が地図上に動画として表現されるのも印象的であった。展示内容のもうひとつはモンゴルの野生動物の頭骨標本とした。モンゴル自然史博物館には哺乳類のみごとな頭骨標本があり、それらは何の説明もなくても見る者に圧倒的な印象を与える。これを木製のケースに収め、重厚感のある展示となった。
2007年に展示の意志を伝え、その年の冬から2008年の春にかけて連絡をとりあって、展示のアイデアを固めた。この展示は東京大学総合研究博物館、モンゴル自然史博物館、モンゴル科学アカデミー生物学研究所、鳥取大学、麻布大学の5つの機関の共催とした。
7月6日に開会の日には、東京大学総合研究博物館の林良博館長、モンゴル大使館の小宮山大使にもご挨拶いただき、モンゴルの関係各位からも丁重な祝辞をちょうだいした。小規模な展示ではあるが、モンゴルの野生動物がいかにして調べられているのか、またその保全がいかに重要であるかをモンゴル市民に訴えることができたことは大きな意義があったと思う。

高槻成紀(麻布大学獣医学部教授、動物生態学)

■写真解説(上から)   
1:モンゴル自然史博物館 
2:頭骨の展示と動植物名のアンケートコーナー 
3:スライドによる展示 
4:林東京大学総合研究博物館館長とゾリグトバータル・モンゴル自然史博物館館長

プロジェクトメンバー
高槻成紀、松本文夫
、鵜坂智則