北京の清華大学において「異星の踏査展」を開催した。これは近年猛烈な勢いで進んでいる惑星探査の成果を紹介するもので、1年前に東大構内で開催された同名の展示会をモバイルミュージアム版に組み替えたものである。この展示会は「東大ウィークat清華大学」という東京大学の活動を紹介するイベントの一部として清華大学のキャンパスで行われたため、東京大学の紹介や、東京大学で行われている様々な研究の紹介も行った。
展示会は既存の建物の中ではなく、学生の最も集まる学内商業施設のまん前に設置した仮設テントの中で行われた。20m四方のテントの中に展示パッケージが展開されると、テント内とは思えないような落ち着いた雰囲気の展示会会場ができあがった。清華大学内では宣伝活動が規制されており、展示会のポスターすら思うように掲示できなかったが、ひと気の多い場所に現れた奇妙なテントが抜群の宣伝効果を発揮し、開場と同時に次々と来場者が現れた。一週間の展示期間で6500人以上の来場者があり、その盛況な様子は現地の新聞で報道されるほどであった。
来場者へのアンケートによると、約95%が展示を楽しんだと回答し、特に惑星探査の成果を説明する映像資料が好評であった。また、約85%が東大を知るのに役立ったと答えている。人目を引く惑星の展示に引き寄せられて来場した方々に、東大そのものも紹介しようという、こちらの狙いが成功したようだ。興味深いのは、来場者の6割以上が博物館や美術館にほとんど行くことがない(年に1回以下)とアンケートで回答していることである。既存の建物に閉じこもることなく、こちらから出向いていって展示を行うという、モバイルミュージアムのコンセプトの正しさを再認識した。
宮本英昭(本館准教授、固体惑星科学)
■写真解説(上から)
1:展示は人通りの多い商業施設前に設置した仮説テントで行われた。テントの存在自体が効果的な宣伝となった。2:入口には総長のメッセージを掲げ、東大の概要を紹介する展示へとつながっている。3:東大で行われている研究の紹介を兼ねて、東大総合研究博物館で過去に行われた展示の概要と図録を展示したところ、思いのほか好評を博した。4:惑星探査で得られた最新のデータを展示した所には最も多くの人が留まっていて、記念写真を取る姿も見られた。
■プロジェクトメンバー
宮本英昭、橘省吾、洪恒夫、関岡裕之、寺田鮎美