東京大学総合研究博物館小石川分館

アーキテクトニカ(クルマガイ)
Architectonica trochlearis (Hinds,1844)
ごあいさつ
東京大学総合研究博物館小石川分館は国指定重要文化財である旧東京医学校の建築を活用したミュージアム施設です。2001(平成13)年の開館以来、学内に蓄積された学術標本で、常設展示、企画展示、実験展示など、各種のイベントをおこなって参りましたが、2013(平成25)年12月を機に、建築ミュージアムとして新たに生まれ変わることになりました。本館は現存最古の教育建築遺産として知られ、それ自体がすでに明治最初期の擬洋風建築の実物展示となっています。
今般、この類稀な建築空間で「建築博物誌/アーキテクトニカ」(ARCHITECTONICA)
の常設展示が一般公開されることになりました。わたしたちが云わんとするところは、学術標本の展示による「建築」概念の拡張です。縮体された模型世界から等倍の身体空間へ、造形された建築学資料から採集された民族学資料へ、これら「建築」概念の周囲に広がる汎界的な領野を、小石川分館の建築が抱き込むことになります。わたしたちの狙いは、事物を構成し、事象を統合する諸原理を「アーキテクチャ」の一語で括り、その俯瞰的な視座に立って、自然物から人工物まで、サイエンスからアートまで、横断的に結ぶことのできる「場」を、この施設に定位させることなのです。
館内の展示は、建築模型、東京大学建築、自然形態、空間標本、建築紀行、身体空間の六つのコーナーに分かれています。幅広い万象の「アーキテクチャ」を探求しようとする者にとって、本館が新しいアイデアやフォルムの創造を喚起する「場」となれば幸いです。
東京大学総合研究博物館
2013年12月吉日
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