東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
東京大学 The University of Tokyo

総合研究博物館の資料部は、3系17部門からなる。各資料部門では、本学の研究者が約130年にわたって収集してきた標本・資料の研究を続けている。それぞれの専門性に基づいて学術標本の研究・教育上の価値を恒常的に保つために、学術標本の体系的分類、標本固有の整理、保全のための専門的な作業を研究部と緊密な連携を保って遂行している。








 ((旧)資料館設立当初、当時の学内研究資料の約半分が収蔵されたという。そこにまず、考古、文化人類、人類・先史、医学、動物、植物、薬学、岩石・鉱床、地史古生物、鉱物、地理、鉱山の12資料部門が発足し、1967(昭和42)年に考古美術(西アジア)、水産動物、1968(昭和43)年に美術史、建築史、森林植物が資料部門として追加された。その後、1979(昭和54)年、資料部門を地学系、生物系、文化史系の3グループにまとめた。

地学系 鉱物、岩石・鉱床、鉱山、地史古生物、地理
生物系 植物、森林植物、薬学、動物、水産動物、人類・先史、医学
文化史系 考古、建築史、考古美術、美術史、文化人類
 
  大学博物館の基盤をなす学術標本というと堅苦しく感じられるが、手にとって見ることのできる「モノ」となると、大なり小なり人々の好奇心をそそる。例えば、太古の人類祖先の実像を唯一示す「モノ」、即ち化石標本について考えてみよう。いったい「モノ」が語る「真実」とは何なのか、太古の化石ともなるとその解釈はどこまでが科学的事実であり、どこまでが想像なのか。博物館は、「モノ」から「真実」を読み取るチャレンジに挑んでいる場でもある。こうした「モノ」自体、それぞれの独自性が強いため、それらを扱う研究には画一的なマニュアルなどはなく、関連分野の先端的な成果と常に連携しながら、自ら「モノ」の見方、読み方をまさに先駆的に構築する必要がある。これは標本研究の大きな魅力である。しかし、「モノ」の面白さはそれ以前にあるのではないか。その第一歩は「モノ」としての存在自体を存分に人間の五感で実感し、取扱い、知り、理解し、大事にすることにある。一つ一つの学術標本はまさに二つとして同一のものはない。その唯一無二の存在を自らの手で創生し、あるいはケアすることの喜びは計り知れない。