The University Museum

シリコンからウェハまで


コンピュータを分解する

デジタルミュージアムを支えるコンピュータ。 コンピュータは生活の色々な場面に進出して来ている。

[ソフトウェアとハードウェアの画像]
ソフトウェア (BTRON OS とアプリケーション部) とハードウェア (MCUBE)

提供:パーソナルメディア株式会社

コンピュータはハードウェアソフトウェアから出来上がっている。 ハードウェアは、計算やデータ管理などをする電子回路であり、 ソフトウェアは、ハードウェアに何をすべきかを命令する指示書である。 ソフトウェアの無いハードウェアはただの箱であり、 ハードウェアの無いソフトウェアはただの紙である。 ハードウェアとソフトウェアの絶妙なコンビネーションで コンピュータは動いている。

コンピュータのハードウェアを分解して見よう。 箱をあけると、そこには、ハードディスク、 フロッピーディスクのケースがあり、電源のケースがある。 その他に、マザーボードと呼ばれる大きなボードがある。 マザーボードはコンピュータの心臓部であり、 MPU (マイクロプロセッサユニット) メモリなどが載っていて、 これだけあればハードウェアの基本動作は可能である。

[マザーボードの画像]
マザーボード

部品の実装されたプリント基盤
提供:パーソナルメディア株式会社

しかし、大量のデータを扱ったり、高速なディスプレイ描画、音声処理など、 高機能な情報処理はこれだけではできない。

そのために、周辺のボードがある。 例えば、音声を処理する回路や、ディスクアクセス、 ディスプレイアクセラレータなどが必要に応じて付け加えられる。

[音声ボードの画像]
音声ボード

提供:東京大学坂村研究室

一つ一つのボードを分解すると、 IC、抵抗、コンデンサなどの部品と、プリント基板に分化される。 ICの中で特に重要なものは、 MPU (マイクロプロセッサユニット) と呼ばれるものである。 これは、ソフトウェアの複雑な命令を一つ一つ実行するための部品である。

[MPU (GMICRO300) の画像]
MPU (GMICRO300)

その他にRAM (Random Access Memory) と呼ばれる、 データやプログラムを格納する部品がある。

プリント基板は、印刷の技術を利用し、 エポキシ樹脂と銅線を層状に重ねた構造をしている。 各銅の層はエポキシ樹脂によって絶縁されている。 特に電気を通したい部分には穴をあけ、スズメッキを施す事によって、 異なる層の間の回路が接続される。 従って、プリント基板にはたくさんの穴があいている。

[プリント基盤の画像]
プリント基盤

部品の実装されていない状態
設計:東京大学坂村研究室

もう一つ忘れてはならないコンピュータの部品はソフトウェアである。 ソフトウェアのないコンピュータはただの箱である。

ハードウェアの機能を管理している基本的なソフトウェアのことを OS (オペレーティングシステム) と呼んでいる。 OSはハードディスクのどこにどのようなファイルがあるかを知っている。 また、ネットワークが混んでいるかすいているか等を監視している。 使用可能なものは的弁要求者に割り付け、 使用可能でないものは使用可能になるまで使用を抑制するなどの機能を持っている。

ソフトウェアの中でアプリケーションと呼ばれるものは、 ワードプロセッサや表計算システムなどある特定の目的を持った ソフトウェアである。 これらのアプリケーションは、OSに伺いを立てながら動作している。 使用可能なファイルを使い、 使用可能なメモリを使用してユーザから来る指令をこなしている。

ソフトウェアを作成することは思いの他大変な作業である。 大きなソフトウェアになると、数百人の規模の開発チームで作成していたりする。

ICの出来るまで

シリコン (硅素) は通常は電気を通さない絶縁体であるが、 高純度 (純度99.999999999%) に精製し、イオン注入などの処理を施すと、 ある一定の条件が満たされると電気が通る半導体となる。 たとえば、ダイオードは、 電圧のかかる向きによって電流が流れたり流れなかったりする。 トランジスタは、入力電流や、入力電圧によって出力電流や出力抵抗が変わる。 また、光に反応して抵抗が変化するなど複雑な性質を実現することが出来る。

[製品のICの画像]
製品のIC (Integrated Circuit)

提供:三菱電機

IC (Integrated Circuit、集積回路) は、シリコンの単結晶板である ウェハの上に写真印刷技術をつかって様々な処理を施し、 上記のような複雑な性質をもつ素子を形成したものである。

[ウェハ (メモリ用) の画像]
ウェハ (メモリ用)

提供:三菱電機

[ウェハの画像]
ウェハ

右側から順に、
中間段階のウェハ(DRAM、ダイナミックメモリ)
回路が形成されたウェハ(DRAM、ダイナミックメモリ)
提供:三菱電機

集積回路を作るには、まず、 シリコンウェハ上にどのようなパターンを作るかを決める マスクパターンを設計しなければならない。 マスクパターンを作る為には集積回路に持たせる機能を設計し、 そこから電子回路図を書く。 電子回路は、抵抗やコンデンサ、トランジスタ、ダイオードなどが アルミ配線でネットワーク化されたものである。 これらを約1cm四方のチップの上にレイアウトして、 そのレイアウトに従ってマスクパターンを作る。

[回路が形成されたウェハの画像]
回路が形成されたウェハ

MCU (マイクロコントローラユニット)
提供:三菱電機

次に、ウェハの表面を酸化し、その上に感光材をぬる。 マスクパターンをつかって、感光材を露光し、現像すると、 マスクパターンによって遮られなかった部分のウェハが露出する。 腐食材で酸化膜を取ると、ウェハのシリコン面が露出することになる。 露出したシリコン面に拡散処理などを施すことによって 電気的特性を持った素子を形成していくことができる。 最後にアルミで配線をすると、回路が完成する。 完成した回路は、金線で外部ピンと接続し、樹脂やセラミックで封入し、 ロットナンバーや回路形式を印刷する。 何万項目と言う特性試験をパスしたものが完成品として出荷される。

[モールド (樹脂封入) 前のICの画像]
モールド (樹脂封入) 前のIC (Integrated Circuit)

提供:三菱電機

[モールド後のICの画像]
モールド後のIC (Integrated Circuit)

提供:三菱電機

[ICの画像]
IC (Integrated Circuit、集積回路)

左側から順に、周辺素子、MPU(GMICROシリーズ)、メモリ
提供:三菱電機

石英からウェハが出来るまで

ウェハを作っているシリコン元素は酸素についで 最も多く地球表面上に存在する元素である。 それだけにウェハの原料となっている石英は生活に馴染みの深い物質である。 石英は石の中には必ず含まれている。

[石英結晶の画像]
石英結晶

大きさ:W 13.5×D 14.0×H 36.0cm
石英の多くは上の画像のような六角柱の結晶を成し、先は六角錘状。
成分は、SiO2でガラスのようなツヤを持つ。
所蔵:東京大学工学部地球システム工学科

一方、水晶は石英の結晶である。 結晶の不純物の混ざり具合で水晶は様々な色を呈する。

このような石英を工業用として用いる時にはしばしば珪石と呼ばれている。

[珪石の画像]
珪石

提供:三菱マテリアル

珪石は、純度の高い石英を含んだ鉱石である。 採掘された珪石からウェハを作るプロセスは以下の通りである。

  1. 珪石から金属シリコンを得る
  2. 金属シリコンを高純度金属シリコンにする (イレブン・ナイン)
  3. 高純度金属シリコンの結晶を整え単結晶にする (インゴット)
  4. 単結晶 (インゴット) をスライスし、 表面を磨くなどの処理をしウェハが完成する

[金属シリコンの画像]
金属シリコン

提供:三菱マテリアル

[粉末金属シリコンの画像]
粉末金属シリコン

提供:三菱マテリアル

[多結晶シリコンの画像]
多結晶シリコン

提供:三菱マテリアル

[単結晶シリコンインゴットの画像]
単結晶シリコンインゴット

提供:三菱マテリアル

[ウェハの画像]
ウェハ

提供:三菱電機

シリコンの原料としての石英

シリコンは、半導体や冶金用に用いられる。 高純度シリコン、メタリック・シリコンは、ペグマタイト成石英を、 フェロ・シリコンは、珪岩、チャートを原料とする。 いずれにしろ、シリコンは天然に産する石英より精製される。

[水晶の画像]
水晶 (石英の結晶)

所蔵:東京大学工学部地球システム工学科
  1. 石英の鉱物学
    石英はSiO2という組成を持つ。 石英と同じ組成を持つ同質多形相として、 トリディマイド、クリストバライト、コーサイトがある。 また、石英も温度により安定領域を異にする2つの相、 低温型石英と高温型石英よりなる。
  2. 石英の産状
  3. 石英の品質検定:流体包有物
  4. 石英の合成
  5. シリコンの精製


[編者注] 三菱マテリアルシリコン株式会社のホームページに 「高純度シリコン製造技術の発展経緯について」と題された関連資料があるので、 ぜひ参考にして下さい。アドレスは以下の通りです。

http://www.egg.or.jp/MSIL/japanese/msilhist0.html


[編者注] この展示内容に関する最新情報や関連資料等は、随時、 東京大学総合研究博物館のインターネットサーバ上の 以下のアドレスで公開、提供していきます。

http://www.um.u-tokyo.ac.jp/DM_CD/DM_CONT/SILICON/HOME.HTM


[Up]

[Logo]

Copyright (C) 1997 Tokyo University Digital Museum
Version 1.2
web-master@um.u-tokyo.ac.jp